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Writer's pictureTomoko Sato

南米でレストラン事業を始める意義

Updated: Jun 25

別題:海洋摂理の人材育成モデルの構築

2024年1月21日 佐藤ジョン


私はアクアムンド社のボート工場を運営するために2013年半ばからパラグアイにいるのですが、以前から食堂を始める機会を探っていました。真のお父様が北米で行われ、故佐藤社長もNJ州の海洋教会で行ったことであり、アスンシオンで計画された12本の柱の一つであり、世界の食糧問題解決のためにやるべき事業だからです。また、海洋摂理の長期戦略として人材育成のモデルを構築するためでもあります。


そんな中、山坂美貴さんと山坂和美さんが2022年にパラグアイに来た時、再度レストラン事業を考慮する機会を与えられました。なぜ、山坂姉妹たちにレストラン事業を始めることを私が勧め協力しているのか、その理由について説明したいと思います。





【海洋摂理の歴史から学ぶ】


まず、レストランは海洋摂理の計画の一部でした。真のお父様は1980年に北米で海洋教会を始められましたが、海洋教会が食口たちに受けいれられず、あまり拡大できなかったのを見られると、レストランをまず拡大するという計画に移行されたようです。


「食口はこのオーシャン・チャーチ(ocean church:海洋教会)が好きではありません。『水産業をしなさい』と言うと逃げていってしまうのです。それで、今先生は、早く全米に一千軒の日本食堂をつくることを計画しています。それが今の計画です。そして、五百三十五箇所の海洋教会をつくるのが次の計画です。今、二つの準備をしなければなりません。」(環太平洋摂理 第一章 2.1.1)


真のお父様がボート製造を米国で始めたのは1978年のことですが、ボート製造工場を始めるのは、大きな初期資金と運営資金が必要です。また、1981年に始まったグロスターのオーシャン・チャレンジなどにも、真のお父様は多くの資金を投入されました。このような資金は、当時米国で人気になり始めたレストラン事業と魚販売事業から多く出たのでした。


また、佐藤社長が1989年から海洋教会の責任者となった後、お父様の指導のもとニュージャージー州のリバティーハーバーマリーナで海洋教会のモデル構築を目指しました。その時は海洋教会の資金基盤となったのはマリーナで運営したレストランでした。


南米でこれから海洋摂理を展開していくにおいて、やはりレストランの基盤が必要だと見ます。


【多角的経済基盤の必要性】


私はパラグアイに来た当初からレストラン事業を始めなかったことを後悔しています。なぜかというと、アクアムンド社が行う日本のボート製造は大量生産に達することができないために利益はなく、サービス事業も大きな利益がでることではなく、摂理をどうしても進めるというプレッシャーと洪水がある中で収入があまりにも不安定だったために多くの苦労があったからです。比較的に資金も人材も多くあった当初から多角的な事業を展開していればよかったと後悔しているのです。


ボート事業で利益を出すためには、ある程度の量生産体制にまで成長しなくては損益分岐点に到達できません。それまでは投資が必要です。その上、パラグアイのような不安定な環境で安定した収入を出すことが難しい状況もありました。そのため、より安定して、比較的初期投資が軽く、早く利益を出すことができる事業を平行的に行うことが必要です。


ボート事業よりもレストラン事業の方が初期資金が少なく、比較的に簡単に始められると思います。真のお父様はこのように語られました。


「いろいろなビジネスの中で、投資してからわずか三年で収益を上げることができるビジネスは、それほど多くありません。レストランであれば、一定のお金を投資すれば三年以内にその投資が返ってきます。このようにして我々は、更に多くのレストランを作ることができます。そしてこれらのレストランが成功した後には、そのような実績があるので、銀行は我々のレストランが安全であると分かり、銀行からお金を借りることができます。お金を返済するのに何の問題はありません。 我々はそういった基盤を作ることができます。」(み旨と海 なぜ我々は海の訓練をするのか 336~340)


日本人は食文化が発達しているので、日本人は自然に食堂を運営する強味があります。パラグアイでも韓国食、日本食が浸透しつつあります。現在がチャンスです。



【失敗から学び長期的な視点を重視する】


2022年はアクアムンドとしては製造開始の10年目であり、過去の数々の失敗を繰り返さないために反省し新しい方法を導入したいという思いが強い時でした。過去10年間を振り返ると、ボート製造事業としての失敗、人材育成の失敗、投資家の失意と分裂、投資の成功などが大きい結果と言うことができます。


一つ大きな失敗の原因は短期的目標を重視するあまり長期的目標を犠牲にしてきたことでした。そのために組織間の対立にも繋がりました。また、公的目標を重視するあまり、個人的家庭的目標を犠牲にしてきました。個人の成長期間や事業の戦略的成長期間を無視してきました。目指すのは、長期的目標を犠牲にしないで短期目標を成就させていくことです。この分析は「パンタナールを人類救済の永遠の聖地にするために何をするべきか」と言う記事で細かく記録しました。


この現地に定着してくれるボート製造員を育成するのは時間と資金がかかります。現在はボート工場の製造員は数名しかいないので、他の事業に投入するのは間違っているのではないかと言う見解もあると思います。それでも、それ以上の長期的視点で、他事業を展開し、人材育成をして行く必要があります。


時間が経つにつれて必ずアクアムンドの資産は大きくなります。アスンシオン・チャコイ間の橋が出来た後は、ビジネスチャンスが指数関数的に多くなるでしょう。しかし、多くの機会や資金があったとしても、それを運用していく人材がいなければすべてが無駄になります。実はそれが南米摂理の大きな失敗の原因でした。真の父母様は南米に多くの投資をされましたが、そのほとんどが無駄となりました。目の前の小さな利益を追求するのではなく、長期的で巨大なプロジェクトを管理することができる人材を育成しなくてはいけないのです。


【海洋摂理の人材育成モデルの構築】


実はレストラン事業を起業するということは海洋摂理の重要な訓練の一環となります。起業とは、資金集めから自分で行い、投資家を世話し、会社を始めることを自分で調べて行うものです。また、現地の社会と関係を直接持ち、個人的な基盤を造るところから始めます。個人的な人間関係基盤がなければ、何も売ることはできないからです。苦労しながら自分たちで会社をはじめることは、将来必要な海洋摂理の人材を育成する布石となります。


パラグアイで人材を育成するのは時間がかかります。日本人であれば、言語・文化・人間関係をゼロからスタートするのですから、必ず数年はかかります。現地の人々の中で、善良で能力が最初からある人を探すのは難しいことです。しかし、時間が経つにつれ、アクアムンド社の価値は数十億円、数百億円になるでしょう。しかし10年後、20年後までに、数十億のプロジェクトを管理でき、たくさんの飢餓の民を食べさせていくことのできる善良な人を育てられるでしょうか?


私が2013年6月にパラグアイに着いたとき、スペイン語もほぼ話せなかったのですが、最初の佐藤社長の指示は「今年中に月30隻製造できる工場を建設する」ということでした。月30隻というと、製造員が約200名ほど必要な規模です。その時、すでに5、6名の日本人技術者はいましたが、誰もスペイン語をしゃべれず、管理、経営や事務などの能力や経験はほぼありませんでした。唯一、現地の事務をする能力と経験があるミラさんは旦那さんが聖和したばかりで精神的に難しい状況であり、1歳の赤ん坊の世話をしていました。このように、当初は複雑なボート工場を建て運営するために、人材はまったくいない状況でした。成功するには人材を教育しなくてはいけません。しかし、この教育にいままで多くの失敗をしてきました。


もちろん、一つの問題は現地責任者である私が教育をする能力がなかった、ということができます。また、環境が難しかったと言うことも言えますが、海洋摂理は環境が難しいところを突き進まなくては達成できないことです。世界で一番貧しく環境が難しい場所を開拓し発展させていくことが海洋摂理だからです。ただ、誰も最初からすべてができる人はいないので、教育の方針をはっきりとさせなくてはいけません。


まず、どのような人材に育ってほしいのか、ということを明確にします。


第一は、必ず世界平和のために必ず生きるという摂理観を持ち、内的にぶれない人間であるということです。世界の飢餓解決を理想とする海洋摂理の道は難しいもので、難しい問題に幾度も直面しても絶対に諦めない人が必要です。私たちは真の父母が願う海洋摂理の理想を共通に持つ、主人意識をもつ家庭たちの連合とならなくてはいけません。しかし内的内容だけではいままでの問題を繰り返すだけです。


第二には、事業に携わる人、あるいは運営できる人が必要だと言うことです。そのためには外的な能力が必要です。技術を持つ人も必要ですし、管理能力を持つ人も必要であり、指導者、教育者も必要です。弁護士も、会計士も、エンジニアも必要です。


第三には、摂理に定着する人が必要です。海洋摂理には数年だけ会社で働く人が必要ではなく、飢餓の民がすべて救われるまで共に働いていく人々が必要です。南米では、南米に定着して事業に責任を持っていく人が必要なのです。


1980年代に、真の父母様は飢餓解決のための海洋事業開拓のために43か国に日本人妻の43家庭を米国から送り出しました。このすべての家庭が開拓と定着に失敗したと聞いています。海洋摂理で継続性のある成功例を造らなくてはいけません。


第四は、主体性を持つ人が必要だということです。組織に頼らず、開拓できる人が必要です。キリスト教は世界の貧しい国に宣教師を送り世界最大の宗教となりましたが、結局は帝国主義の搾取文化に飲まれてしまい世界各国の貧富の差は継続しています。海洋摂理では私たちは同じように世界の一番貧しい場所に行って何もないところから開拓し、貧民たちを具体的に助けなくてはいけません。宗教を広めるためではなく、まずは純粋に苦しむ人たちのために生きる生活をしなくてはいけません。そのためには、自分が主管できる経済基盤が必要です。


主人とは、いつ首にされるか分からない社員という立場ではなく、誰からも干渉されない基盤をもたなければいけません。自分で事業をはじめ、自分で現地社会と関係を持ち、開拓していくことが、海洋摂理の訓練です。山坂美貴さんと和美さんは資金集めから自分で行い、難しい状況や時には失敗を重ねることにより外的能力も着実につけていくでしょう。将来の海洋摂理の人材育成のモデルケースになるかもしれません。


しかし、このような理想をもっていても、もちろん適材適所があるので、(1)技術者など専門職を持つもの、(2)管理者となるものという二つの道で人材育成を考えなくてはいけません。理想は両道を極めるものですが、どちらの道も必ず時間がかかるものです。


【社会に繋がる基盤を造っていく】



山坂美貴さんと和美さんは、「自分たちで目標をもち、計画を建て、社会に接し、自分たちで資金を募る」という事を目標にしてスペイン語を学びながら屋台から始めました。


自分で資金を預かり、それに責任を持っていくことが主人として立つために必要なことです。この世では、献金で事業を行う人はあまりいません。自分の繋がりをつくり、自分で資金を集め責任をもってこそ、主人として定着できます。


このために、山坂さんたちは「どのように資金集めをしていくか」を自主的に考え、パラグアイの現地日系社会の人たちと組みながらクラウド・ファンディングなどから始めています。自分たちの個人基盤から始め外に向かって繋がりを造っていくことにより、いままで海洋摂理に接して来なかった人たちを繋げることができます。ボート事業に関心がない人も、海洋摂理の方法に納得していない人も繋ぐことができるかもしれません。


海洋摂理は巨大なプロジェクトであり、どう考えても一組織ができる取り組みではなく、国やUNや他の組織と連携が必ず必要です。そのために多角的に人との繋がりを造っていかなくてはいけません。


真のお父様もレストラン事業は社会との繋がりを造るのによい事業だと言われておられました。



「現在何人かのメンバーは日本レストランの創設途上にあります。皆さんはレストラン・ビジネスはほんの小さなことであると考えるかもしれませんが、しかしこれは多くの意味を持っているのです。まず第一にレストランは非常に多くの人が出入りする商売です。これを通して、これらの人たちに接触することができます。皆さんはそれらの人たちに話しかけ、そして良い関係を築くことができます。そしてそれらの人たちに奉仕し、そして真の奉仕精神を示すことができます。我々は宗教人であり、この世においても働かなければなりません。このような意味において、レストランは我々が行う上において非常にすばらしい事業であると言えます。」(み旨と海、9章、1984年7月2日)


異国で起業するのは難しいものです。苦労がこれから多くあるでしょう。しかし、山坂さん家族の成功が必ず海洋摂理の成功になることを信じて、現地で協力しながら見守りたいと思います。


👆👇レストラン準備中



(了)


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